物事を突き詰めることは大切なことだと思います。

自分の中で意識を集中させ、一つのテーマに向き合い続ける。深く考え、試行錯誤し、自分なりの答えを探していく。その営みは、誰にとっても人生を歩む上で必要なことではないでしょうか。

私自身も、納得がいくまで考えたり、一つのことを深く掘り下げたりすることに価値を感じています。

しかし、他者と共にいる場面ではどうでしょうか。

自分が突き詰めたい方向と、相手が突き詰めたい方向が同じとは限りません。むしろ違うことの方が多いかもしれません。

そして、細部に行けば行くほど、突き詰めれば突き詰めるほど、互いの考えの違いは生じやすくなります。

どこを重要視するのか。何を優先するのか。どこに厳格さを求めるのか。それぞれが大切にしているものが異なるのは当然のことです。

その場が学校であれば、学問やスポーツを追求すること、そして他者とのコミュニケーションの仕方を学ぶことが大切な目的の一つでしょう。仕事であれば、他者との関わりの中で利益や価値あるサービスを生み出していくことが求められます。

そう考えると、その場の方向性を確認すること自体は、実はそれほど難しいことではないように思います。

しかし、その視点が抜け落ちてしまうと途端に難しくなります。自分は正しいことを言っているつもりでも、場が大切にしていることとは違う方向に力を使ってしまうことがあるからです。

では、考え方の違いが生まれたときにどうすればよいのでしょうか。

私は、一度その場のベクトルに立ち戻ることが大切だと思います。

細部へ細部へと狭めてきたこだわりから少し離れ、そのこだわりが生まれた上流へ立ち返ってみるのです。

そもそもこの場は何のためにあるのか。
皆で何を目指しているのか。
今、大切にしたいことは何なのか。

そうした問いに立ち返ることで、細かな違いの奥にある共通の目的が見えてくることがあります。

学校でも仕事でも、共通しているのは「他者と共にある」ということです。

だからこそ、自分が何を突き詰めるかだけでなく、その場が何を大切にしているのかを理解することも同じくらい大切なのだと思います。

そして、自分が突き詰めようとしていることが、その場の大切な方向性と重なっているのであれば、遠慮する必要はありません。

自信を持って突き詰めればよいのです。

違いをなくすことではなく、共通の方向を確認すること。

突き詰めることそのものが大切なのではなく、何を大切にする場なのかを理解した上で突き詰めること。

それが、他者と共に歩むための一つの姿勢なのではないかと思います。