テーマ「リカバリー」
先日、リカバリー対話を実施しました。この対話のテーマは「リカバリー」でしたが、振り返ると私は「リカバリーについての議論」をしようとしていたことに気づきました。これは大きな誤りでした。あらかじめテーマを決めて準備をすると、どうしても「対話」ではなく「議論」になってしまい、対話の本質である受け身の姿勢を忘れがちになります。
しかし、幸いにも、アイスブレイクの時間で進め方を話し合う中で、「ざっくばらんに話を引き出しながら進めていこう」という流れになりました。そのおかげで、対話の雰囲気を壊さずに済み、安心しました。アイスブレイクで意見を下さった方に感謝の気持ちです。
多岐に渡った対話の内容
今回の対話では、個々のリカバリー経験、リカバリーの抽象的なイメージ、そしてリカバリーにおける人との繋がりの大切さなど、さまざまなテーマが取り上げられました。
リカバリーのイメージ
特に印象に残ったのは、「リカバリーとは、一度割れてしまったストレスを受け止める器を、金継ぎの技法で修復するようなものではないか?」という意見です。人生は一度きりであり、精神疾患を発症した以上、再発のリスクと常に隣り合わせです。発症によって崩壊した「ストレスの受け皿」は、単に壊れたままにするのではなく、もう一度修復し、再構築する必要があります。
この話の中で、「割れた器は捨てて、新しいものに変えればいいのでは?」という意見が出たのも面白かったです。これは斬新な視点で、笑いとともに「なるほど」と思える提案でした。
とはいえ、完全に新しい器にするのではなく、金継ぎのように傷を持ちながらも、それを受け入れ、適切にメンテナンスしながら使い続けることが、リカバリーの道なのではないかと考えました。注がれるストレスの量に気を配り、ときには受け流し、ときには汲み出しながら、器が再び壊れないようにする。そうした感覚を持つことで、リカバリーをより具体的にイメージしやすくなりました。
人との繋がりとリカバリー
また、対話の中で「人との繋がりがリカバリーの助けになることもあれば、そうでない場合もある」という話題も印象的でした。特に、うまく繋がれていないと感じたときに「相手の幸せを願ってみる」という提案には、深く納得させられました。
相手の幸せを願うことで、自分自身の相手に対する姿勢が自然と変わり、その変化が結果として良い繋がりを生み出すことに繋がるというのです。この視点は、リカバリーにおける人間関係のあり方を考える上で、とても大切な気づきでした。
充実した対話の時間
今回のリカバリー対話も、非常に深いものになりました。深い対話は頭を使う分、終わった後は心地よい疲れを感じます。参加してくださった皆さんにも、しっかり休んでいただき、またエネルギーを養って次回の対話に備えてほしいと思います。
今後も対話の場をご提供していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
森の民さん コメントありがとうございます! 語り合いの時間、本当に素晴らしいです…