ちょうどいいを探す旅
ちょうどいい緊張という感覚
「ちょうどいい緊張はパフォーマンスを高める」とよく言われます。スポーツでも受験でも、緊張が足りなければ身体も心も働きませんし、過度な緊張は身体をこわばらせ、心も頭も真っ白になってしまいます。
自分にとっての「ちょうどいい緊張」を探っていくことは、とても大切な営みだと私も感じています。
そして最近、私は気づきました。大切なのは、緊張に限らず、どんな場面でも「ちょうどいい」を探していくことなのではないか、ということです。
0か100でしか生きられなかった頃
私は昔、完璧主義でした。物事を0か100かでしか見ることができず、「良い成績を取る」「良い大学に行く」「良い会社に入る」といった“100の道”だけが価値のあるものだと思い込んでいました。
実際には、どの世界にも上には上がいて、がむしゃらにもがき続けても、自分の求める“100”に届かないこともありました。それなのに、少しでも納得できない結果が出ると、私の中ではすぐに“0”になってしまうのです。
今振り返ると、その考え方は、ある種の強迫観念のように私の心を締め付けていたのだと思います。自分で自分を追い込んでしまうクセが、少しずつ心を蝕んでいたのだと感じます。
100を目指しながら77を受け入れる
そんな私がいま大切だと思うのは、「ちょうどいいを探しながら、自分を磨き続けること」です。
もちろん、100を目指す気持ちを持つのは悪いことではありません。ただ、頑張った先にたどり着いた場所が“77”だったとしても、それでいいのだと考えられるようになりました。
その“77”は、妥協ではなく、自分なりの努力が積み重なった結果です。完璧ではないけれど、たしかに自分が歩いてきた道のりが形になったものとして、大切にしていきたいと思います。
サッカー選手の言葉に学ぶ「ミス」との付き合い方
最近、ポッドキャストで興味深い話を耳にしました。あるサッカー選手が、「ミスは必ずする。大事なのは、いつミスをするかだ」と語っていたのです。
彼は、ここぞという大切な場面でミスをしないように、日々の調整を大切にしてきたと言います。
その姿勢は、まさに「ちょうどいい」を探し続けることと通じているように思いました。ミスをゼロにしようとするのではなく、ミスとの付き合い方を工夫する。その中で、自分のリズムやコンディションを見極めていくことが、「ちょうどいい」の感覚を育てていくのだと感じます。
不完全な私たちと、ちょうどいいを探す旅
人間は到底、完璧な存在ではありません。つまずくこともありますし、ミスもしますし、ときには病気にもなります。
だからこそ、日々の中で自分にとっての「ちょうどいい」を探しながら歩むことが、人生をしなやかに生きるための力になるのではないでしょうか。
大切な場面を大切にするために。完璧ではない自分とともに、穏やかに前へ進むために。
私はこれからも、「ちょうどいい」を探す旅を続けていきたいと思います。
















[…] こんにちは。「比べる心を紐解く。」第2回です。 前回は、私た…