認知の歪みに気づく第一歩は、自分が“色眼鏡”をかけて世界を見ていることに気づくことだと思います。
私自身、統合失調症を発症したことで、認知が大きく歪んでしまいました。
たとえば、人間関係を「味方」か「敵」かという極端な二極でとらえるようになり、結果的に人との関係がぎくしゃくしてしまいました。
また、自分が知覚していることと他人が感じていることの区別がつかなくなり、「誰かに監視されている」という妄想まで生じてしまったのです。
そうした認知の歪みに気づくことができたのは、まず第一に、薬の力によって脳の過剰な働きが抑えられたことが大きかったと感じています。
そして、再発を防ぐためにも、発症前と同じような思考パターンに戻るのではなく、「歪み」に気づき、それをニュートラルな状態に少しずつ戻していくことが必要だと考えるようになりました。
無意識のうちにかけている“色眼鏡”を、自分で意識してはずしていく。
それは簡単なことではありませんが、自分の心を少しずつ楽にしていく、確かな一歩になるのではないかと思っています。
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