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スペックという名のレッテル――視点の違いに気づくために

分厚いのに、中身が薄い――そんな本に出会うことがあります。
ページ数は多いのに、得られる情報や言葉の密度が少なく、読んでいて物足りなさを感じてしまうことがあります。これは、物理的な「厚さ」と内容の「濃さ」が一致していない、いわばスペック(SPECIFICATION)の違いだといえるでしょう。

この“スペックの違い”という概念は、人間にも当てはまるのではないでしょうか。
人にもそれぞれの「スペック」があります。もしかしたら「アナムネ」と呼んでもよいかもしれません。アナムネーシス(anamnesis)――過去の記憶や背景を含めた特徴づけのことです。つまり、その人を特徴づけるさまざまな側面のことを指します。
そして、それを丁寧に理解しようとすることは、自己理解や他者理解にとって重要な営みになるのだと思います。

けれども、ここで一つ注意しておきたいことがあります。
冒頭に述べた「分厚くて中身が薄い本」という言い回し自体に、すでにある種の評価の視点が含まれているということです。

物質的な体積やページ数といった「科学的に見える数値」でさえ、実は絶対的なものではありません。
それと同じように、人の特徴やスペックと呼ばれるものも、あくまである視点から意味づけられたにすぎないのです。

たとえば、「この人は要領が悪い」と言うとき、それは“効率”を重視する価値観からの評価です。
けれども、「丁寧で慎重な人」と捉える視点から見れば、まったく逆の意味になるかもしれません。

このように、世の中は視点によって意味が変わる世界です。
そして、どの視点から意味づけをするかによって、その人の“スペック”の捉え方も大きく変わってきます。

だからこそ、私はこう思います。
人を理解しようとするとき、その“理解”には必ず自分自身のフィルターがかかっているという事実を忘れてはならないのではないでしょうか。

「この人はこういう人だ」と決めてしまう前に、
「自分はどんな視点でこの人を見ているのだろう?」と、一度立ち止まって考えてみたいものです。

本の厚さと内容の濃さが必ずしも一致しないように、
人の外見や肩書きと、その内側にあるものもまた、簡単には測れるものではありません。

本当に大切なのは、測ることそのものではなく、測る視点の多様さに気づくことです。
そのことに気づいていくことが、他者理解と自己理解の深まりにつながっていくのだと思います。

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