こんにちは。
今日は最近よく感じる、「バランスが大事」ということについて書きたいと思います。
バランスは人間関係や、心身の健康、仕事と私生活、感情と理性、環境との調和など、あらゆる領域で必要不可欠な要素です。
どうしたらバランス江く安定した状態を保つことが出来るのか考えてみました。
ヤジロベエを考える
皆さんヤジロベイをご存じですか。
私はバランスと聞いて、このヤジロベエのことが思い浮かびました。
支点は一点でも、しっかりとバランスを取って立ち、指で少し揺らしても倒れずに自分で揺れを吸収して安定します。
このヤジロベエが何かヒントになるのではないかと考えました。
ヤジロベエの原理
弥次郎兵衛(やじろべえ)の原理を簡単に説明すると、支点を中心に揺れながらも重心が低い位置にあることで倒れない仕組みです。この原理は、物理学の「重心」と「モーメント(力の回転作用)」に基づいています。
左図が安定した状態で、右図が揺れた時の状態です。
ヤジロベエ全体の重心が支点よりも下の位置にあることにより、重力によって発生するモーメントが、ヤジロベエを安定状態に戻す方向に働くのです。
それによって、揺れながらではありますが安定状態に戻ることが出来るのです。
仮に重心が支点よりも高いと下図のようになります。
立っている時は重力が支点に対してまっすぐですので立ちますが、一度揺れると、右図のように支点に対してヤジロベエが倒れる方向にモーメントがかかってしまい、倒れてしまうのです。
心のバランスをヤジロベエで考える
ヤジロベエを参考に、人間の心のバランスを取ることについて考えてみました。
こんな感じに捉えることが出来るのではないかと。
この例えを用いて、バランス力を高める指針を考えていきましょう。
全体を支える支点
支点については、心において自分の価値観や信念だとみなすことが出来ます。
ヤジロベエでは原理で説明した通り全体の重心と支点の相対的な位置関係が安定性に重要な役割を担います。
相対的な位置関係によって次のように安定性が変わっていきます。
①支点が重心より高い場合
解釈: ヤジロベエ全体(感情や行動)が支点(価値観や信念)によって十分にコントロールされていない状態。
特徴:不安定な状態で揺れると転んでしまう。例: 自分の価値観に自信がなく、周囲の意見や出来事に振り回される。
②支点が重心より低い場合
解釈: 感情や行動が価値観や信念によってしっかりと支えられている状態。
特徴:揺れに強く、安定感が高い。例:深く根ざした信念を持ち、感情が一時的に高ぶっても自己を見失わない。
このように自分の価値観や信念を支点として深く根付かせ、ヤジロベエ(感情や行動)をその上に適切に配置することで、揺れにも強い心を育てることができるのだと思います。
重心の低い、バランスの取れるヤジロベエ
次に、支点の上に乗るヤジロベエ本体(感情や行動)について考えてみましょう。
ヤジロベエの頭
ヤジロベエの頭は心においても頭、つまり思考と捉えることが出来ます。
思考はヤジロベエを安定させる監視役ですが、あんまり考えすぎて重くなってしまっては重心が高くなってしまうので注意が必要です。
両端の重り
両端の重りはヤジロベエの腕の先にあり、重心を下げて安定性を支える役割があります。
両端が示すのは、さまざまな感情や思考の両極です。
例えば、喜び vs 悲しみ、怒り vs 恐れ、愛情 vs 嫉妬、自信 vs 自己疑念、楽観 vs 悲観開放感 vs 抑制、開放感 vs 抑制、期待 vs 諦め etc…
これらの両極の重りがどちらか一方に偏ってしまうと、感情の揺れが制御できず、不安定になってしまいます。例えば、喜びだけを追求し、悲しみを避けると、いざ困難に直面したときに心が大きく揺れてしまうのです。
出来る限りどちらの感情も同等な重みを意識することが良いバランスに必要です。
腕の長さと角度
ヤジロベエの腕の長さと角度も全体の安定性に重要な役割を担います。
腕の長さと角度は、感情や行動の外部への影響力と方向性を象徴すると考えることが出来ます。
腕の長さ: 感情や行動がどれだけ外部に影響を及ぼすかを決定。
腕の角度: 感情や行動の方向性や偏りを示す。
腕の長さと角度を組み合わせると、感情や行動の強さと方向性の全体的な影響が見えてきます。
(a) 長い腕 × 対称的な角度
- 特徴: 広い影響範囲とバランスの取れた方向性。
- 効果: 他者や環境に大きな影響を与えつつ、安定性を保つことができる。
- 例: リーダーシップを発揮する人物。
(b) 長い腕 × 非対称的な角度
- 特徴: 影響範囲は広いが、特定の方向に偏る。
- 効果: 影響力が大きい反面、心のバランスが崩れやすい。
- 例: 強い情熱を持つが、過度に集中しすぎる傾向がある人。
(c) 短い腕 × 対称的な角度
- 特徴: 影響範囲は狭いが、バランスが取れている。
- 効果: 外部からの影響を受けにくく、自己完結的な安定感がある。
- 例: 内向的で落ち着いた人。
(d) 短い腕 × 非対称的な角度
- 特徴: 影響範囲が狭く、偏りが強い。
- 効果: 外部との関わりが少なく、偏った視点に囚われやすい。
- 例: 感情や行動が固定化されやすい人。
外部から加わる力
以上のように重心を低く、支点を適切な位置に設定しておくことが出来れば、ヤジロベエは外部から強い力を加えられても、回復し安定した状態を保てます。
これをレジリエンスというのです。
実践的なバランスの取り方
1. 自分の支点を見つける
- 価値観の明確化: 自分にとって何が大切なのかを考える時間を持つ。
- 例: 「家族」「健康」「自己成長」など、自分の信念や価値観をリストアップする。
- 定期的な見直し: 支点(価値観)が揺らいでいると感じたら、内省して再確認する。
2. 重心を低くする習慣
- 感情と行動の整理: 一日の終わりに、自分の感情と行動を振り返り、偏りがないか確認する。
- 例: 今日のポジティブな出来事とネガティブな出来事をリストにしてバランスを取る。
- 過剰な思考を防ぐ: 考えすぎていると感じたら、体を動かす、リラクゼーションを行うなどで切り替える。
3. 両端の重りを整える
- 感情の両極を受け入れる: 喜びと悲しみ、怒りと恐れなど、どちらの感情も自然なものと捉え、否定せず受け入れる。
- 実践: 感情が高ぶったとき、「これは私にとって何を教えているのだろう?」と問いかける。
- 偏りを意識する: 片側に感情が偏りすぎていないかを常にチェックし、逆側の視点を取り入れる。
4. 腕の長さと角度を意識する
- 適切な関わり方: 他人や外部環境との関係を調整する。
- 例: 社交的になりすぎて疲れたら距離を置く、逆に引きこもりがちなときは外出してみる。
- 方向性の修正: 感情や行動が特定の方向に偏っているときは、対極の活動に取り組む。
- 例: 楽観的すぎる場合はリスクを見直し、悲観的すぎる場合は成功体験を思い出す。
5. 外部の力をどう受け止めるか
- 揺れを受け入れる: 外部からのストレスや変化を完全に避けることはできない。揺れを自然な現象と捉える。
- 例: 仕事での失敗を「次への学び」としてリフレーミングする。
- 揺れのコントロール: 揺れすぎないように、マインドフルネスや呼吸法で心を落ち着かせる。
- 実践: 深呼吸や瞑想を毎日5分行う。
6. レジリエンスを育てる
- 小さな失敗を許容する: 小さな揺れを経験することで、大きな揺れにも対応できる心を育てる。
- 例: 新しいことに挑戦して失敗しても、それをポジティブに捉える。
- 支援を求める: 自分一人で揺れに対処できない場合は、他者に助けを求める。
- 例: 信頼できる友人や家族、カウンセラーに相談する。
まとめ
心のバランスは、完全な静止ではなく、揺れを受け入れながら安定を保つことにあります。ヤジロベエのように、価値観や信念という支点をしっかりと持ち、感情や行動を適切に整えながら、揺れにも柔軟に対応していきましょう。それが、どんな困難にも倒れない心を育てる秘訣です。
森の民さん コメントありがとうございます! 語り合いの時間、本当に素晴らしいです…