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フレームワークに頼りすぎないという知性

人は、経験を積み重ねるなかで、自分なりの「ロジック」を育てていきます。それは、物事を理解したり、判断したりするための筋道であり、一種の“思考の型”のようなものです。私たちはそれを使って、目の前に現れる情報を見極め、分類し、対応を選んでいきます。こうした構造は、いわば「フレームワーク」と呼ぶことができるでしょう。

たとえば、誰かと出会ったとき。私たちは、その人の言動や雰囲気から、無意識のうちに「この人はこういうタイプだ」と見当をつけます。そして、自分の中にある過去の経験や知識に照らし合わせながら、「この人にはこう接すればうまくいく」という方針を立てるのです。これは、一種の適応であり、また人間が生き延びるための知恵でもあります。

しかしながら、この「フレームワークに当てはめる」という行為には、思いがけない落とし穴も潜んでいます。

もし、相手のふるまいが、自分の知っている枠組み、つまり、自分のロジックから逸脱していたらどうでしょうか。あるいは、「どのフレームワークを使って考えればよいのかわからない」と感じてしまったら。そんなとき、人は戸惑い、思考を止めてしまうことすらあります。

「理解できない」という状態は、実はとても苦しいものです。それは、相手が悪いのでも、自分が劣っているのでもなく、単に「これまでにない出会い」に直面したからにすぎません。しかし、私たちはその不確かさに不安を覚え、「理解しようとする努力」よりも、「分類し直そうとする衝動」に駆られがちです。

だからこそ、ここに一つの知恵があるように思うのです。

それは、「フレームワークを使いこなす」という知性だけでなく、「フレームワークに頼りすぎない」という知性を持つということ。つまり、自分のロジックを自覚しつつも、それが通用しない場面に出くわしたときに、すぐに手放す柔軟さを持つことです。

ロジックやフレームワークは、道具であって、それ自体が目的ではありません。人と向き合うときに大切なのは、枠に収めることではなく、その人を、そのままの姿で受け取ろうとする態度ではないでしょうか。

「わからない」を受け入れる勇気。そして、「わからなさ」を一緒に見つめていこうとする関係性。

そこには、知性を超えた、深い人間らしさが宿っているように思えてなりません。

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